ひじかたです。この測定所を預からせていただいています。当測定所は、2012年7月1日に開所しました。測定員は現在約20名。毎週土日の10:00~15:00で測定を行っています。測定員はすべて一般のかたです。わたし自身も一般のサラリーマンにすぎません。食品測定は専任の方々をお願いするのではなく、一般の市民で行うこと。それゆえ市民測定所ということなのです。三か月をたちいかほどの測定が出来たでしょうか。
ここを訪れる依頼者の方とお話をすること。それがなによりです。一番すばらしいと感じています。決して、不安や疑問にすべて答えられる訳ではありません。それでもお話を伺います。
今回取り上げるこのお米は、他の測定所(こどもみらい測定所)さまからお借りましたものです。
○ゲルマニウム測定の結果(平成24年5月8日測定)
お米
セシウム134 2.5 Bq/kg
セシウム137 3.3 Bq/kg
合計5.8 Bq/kg
このお米は福島原発事故の影響を明らかに受けています。上記の134、137の数値はそのことを明示しています。この内容をあるびれおの測定器(ヨウ化ナトリウム AT1320A)で測定した場合どのような結果になるかを実践しました。お米:試料重量 937gにおいて、その測定時間を変えて測定してみようというものです。
○マリネリ容器 1リットル
時間と測定回数
1800秒 (30分) 1 回
3600秒 (1時間) 6 回
7200秒 (2時間) 3 回
10800秒(3時間) 6 回
36000秒(10時間)1 回
65000秒(18時間)1 回
測定延べ時間 約60時間
さて、ゲルマニウム測定器(他の機関で測定)の測定結果の5.8ベクレルを、一応、真の値と仮定します。その上で、「あるびれお」のAT1320Aの測定結果と比べます。Cs134/137ともに測定下限値を超え、かつその測定誤差範囲に真の値と仮定した5.8ベクレルが含まれているのは以下の通り。
○マリネリ容器 1リットル
時間と測定回数
1800秒 (30分) 1 回のうち 0回
3600秒 (1時間) 6 回のうち 0回
7200秒 (2時間) 3 回のうち 1回
10800秒(3時間) 6 回のうち 4回
36000秒(10時間)1 回のうち 1回
65000秒(18時間)1 回のうち 1回
上記の結果が出ました。測定時間と回数は、もちろん偏りがあります。測定そのものが少ないですが、ここからAT1320Aについて測定した感覚のようなことが言えると思います。
・5.8ベクレルまでせまれるのは、3時間測定では時間がやや不足しており、それ以上の測定時間が必要です。
・セシウム137、セシウム134の比率は毎回測定ごとにまちまちです。バラつきがもちろんあります。確率統計が支配する放射性物質の放射線量のばらつきの大きさを、測定を通して体感できました。
長時間測定は精度が向上します。(理論上は)測定時間が4倍になれば、精度は2倍になるとのこと。しかし現実にはいろいろな問題があり、時間が4倍でも、精度は2倍にまではなりません。実際には上記のように、数ベクレルの測定を行うためには3時間を越える測定時間が必要で、できれば10時間12時間の測定がよりよいと言える結果となりました。
一方、セシウム137/134の合計が10ベクレル以上ある場合は、多くの場合30分の測定でその存在が判定できますので、「あるびれお」ではまず30分の測定を行い、より低い値まで検出することが必要な場合は、測定時間を延長します。
さらに例えば、3ベクレルのものがあるとする場合。基本的には3時間測定でわかることは少ないです。10時間以上の測定でどの程度せまれるかというチャレンジになると思われます。測定重量は、重いほど精度が上がるので、1リットルマリネリにどのくらいの量をつめられるか。そこが一番大事ですね。
あるびれお ひじかた りゅういち