測定結果の見方

内藤測定チーフより測定結果の見方について、コメントをもらいました。

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いくつかの測定結果を見て、測定員の皆さんが誤解しやすいのではないかと感じたことをお伝えします。

皆さん、測定結果でCs134の値がCs137より多く出た場合は、
それは実際とは異なるということは、ご存知のことと思います。
ですから、例えば、Cs134が検出されて、Cs137が測定下限値未満に
なった場合も、その結果はおかしいと判断されていると思います。

<例>AT1320A測定結果
Cs137: 下限未満    (検出下限:3.58Bq/kg)
Cs134: 4.3Bq/kg     (検出下限:3.30Bq/kg)
Cs137+134合計: 4.3Bq/kg

この場合に起きていることは、
①含まれている放射性物質が測定下限値より少ない
(検体1Kg、30分測定の条件におけるAT1320Aの測定下限値10Bq/kgより少ない、
ということ)
または
②測定のランダム性が、今回現れて、測定値が運悪く、低く出ている
のどちらかであり、値が確定しないと見なせます。
ですから、測定自体がまだ未完と判断して、長時間測定をされていると思います。
それは正しい判断だと思います。

逆に、例えば、Cs137が検出されて、Cs134が測定下限値未満になった場合は
どうでしょうか?

<例>AT1320A測定結果
Cs137: 5.3Bq/kg    (検出下限:3.58Bq/kg)
Cs134: 下限未満   (検出下限:3.30Bq/kg)
Cs137+134合計: 5.3Bq/kg

AT1320Aは、測定結果として、Cs134は不検出とみなし、
Cs137+134の合計値としてCs137の値だけを表示します。
この値はどれほど「正しい」でしょうか?
Cs134=0として、Cs137の値だけをCsの量として信じることはできるでしょうか?

これを信じることはお勧めできません。
現在は、福島由来のCsの場合、Cs134はCs137の6割程度は
必ずあるはずだからです。(時間がたつにつれ、この割合は減っていきます)
上記の例ですと、ここではCs137が5.3Bq/kgが正しいと仮定すると、
Cs134は、Cs137:5.3Bq/kgの6割程度、すなわち3.18Bq/kgは
あるはずだからです。
Cs134はなしとして、Cs137はあると判断した数値には、あまり信頼性が無いのです。

この場合も上記の判断と同じく、すなわち
①含まれている放射性物質が測定下限値より少ない
②測定のランダム性が今回現れて、低く測定された
のどちらかが起きていると判断し、Csの値を知りたい場合は、長時間測定を
してください。

もしくは、「測定下限値よりは、少ない(可能性が高い)」と
いう判断にとどめ、測定結果にCs137の値だけを採用することは避けてください。

内藤誠

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