『食べたい』ものを測るときは【サンマの測定】

三陸沿岸から支援物資のお礼にとサンマをたくさん送って頂きました。これまで見たこともない、太ってつややかで大きなサンマです。

 

このサンマを、食べるのはもちろんですがせっかくですので測定もしてみたいと考えました。太平洋岸の魚への影響を知りたいと思ったのと、魚の測定の練習をするためです。

『あるびれお』では、野菜や穀類に比べて、魚介類の測定例はあまり多くはありません。その理由のひとつに、魚介類の痛みやすさがあります。

『あるびれお』の開設は暑い夏の盛り、7/1でした。ご案内にもありますが、検体は常温にして測定します。検体を刻んで、あるいはフードプロセッサーにかけるかしたものを常温にして持ち込み、30分間検査機にかけるという工程です。測定後、食べられる状態かどうか。判断の難しいところです。

自分にとって今回の検体は、数値にかかわらず「どうしても食べたい」ものでした。そこで、検体の秋刀魚を生ではなく塩焼きにして測定してみることにしました。

放射性物質は加熱で減ったり変化したりはしないので、検査後の食品をぜひ食べたい、という場合、例えば生で刻めば変色してしまうじゃがいもなども、マッシュポテトの形にして測る、などの方法もあります。

1リットルもの検体ですから、測定で数値を確認した後、出来れば食べたいという気持ちの方も多いかと思います。どうぞ参考にしてください。

(※測定時の衛生には気を付けていますが、安全を保障するということではありませんのでご判断はご自身でお願いいたします。)

自宅のオーブンに入るだけのサンマを焼いてみました。大6匹で約900gくらい。いざ焼いて測定容器に詰めてみると、1リットルにやや足りず、重量は654gでした。焼いて出てしまった油と水分の量が、思いのほか多かったのです。

この状態で30分測定したところ、Cs137のみに7.36Bq/kg(誤差±3.67)のピークが検出されました。測定器AT1320Aの30分測定のCs137/134合計の検出限界は一般に10Bq/kg程度ですので、今回のようなそれ以下の数値はあくまで参考値となります。それでも本当にCs137が7.36Bq/kg近くもあるのかどうか確かめたかったので、検体量も増やして再測定しました。

検体量が容器いっぱいにならないと、やや数値が高めに出る傾向があるという話を聞いたのは後になってからですが、とりあえずオーブンに入りきらなかった分のサンマを追加で焼いて、容器にしっかり満たされるようにしたところ、検体量は832g。再び測定。

30分測定の結果、この場合の検出の限界値(Cs137/134合計で7.8Bq/kg)を超える数値は検出されませんでした。

さらに続けて合計9時間の測定でも、検出限界値(Cs137/134合計で2.2Bq/kg)を超える数値は出ませんでした。(AT1320Aは長時間の測定をするとさらに数値が正確にみえてきます)

微量にあるかもしれないが検出できるほどではない、というのが今回の測定の結果と言ってよいかと思います。

事故前には無かったはずの、微量に感じられる何ものかを恨めしく思う気持ちが自分のなかで無くなることは決してありませんが、高い数値が出なかったことを喜び、食卓に戻ります。

ほぐしたサンマは刻んだ生姜と一緒にご飯に混ぜてサンマ飯にして美味しく頂きました。

被災地の暮らしがさらに回復されますようにと願います。

ボランティア測定員川嶋@修行中

 

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