「原発事故子ども・被災者支援法」の成立に向けて 

あるびれおの測定員には福島から母子避難してきた増子理香さんがいます。増子さんは「原発事故子ども・被災者支援法」の成立に向けて精力的に活動しています。

あるびれおの顧問であり、放射能から子どもたちを守る全国小児科医ネットワーク代表である山田さんから、以下の記事が寄せられました。

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3月11日の原発事故以来、1年4ヶ月が建って、福島をはじめとする被災地に居住している人、そこから他地域に避難している人たちに対して殆ど援助がされていない状態が続いています。被災者に対しては長期にわたる医療補償や生活補償が必要ですが、それがどんな風に行われるのか目途も立っていません。

そんな中で、今年6月国会で与野党全会派の議員による議員立法として「原発事故子ども・被災者支援法」が成立しました。この法律の第1条には<目的>として次のような記載があります。

「一定の基準以上の放射線量が計測される地域に居住し、又は居住していた者及び政府による避難に係る指示により避難を余儀なくされている者並びにこれらの者に準ずる者(以下被災者という。)が健康上の不安を抱え、生活上の負担を強いられており、その支援の必要性が生じていること及び当該支援に関し特に子どもへの配慮が求められていることに鑑み、子どもに特に配慮を行う被災者の生活支援等に関する施策の基本となる事項を定めることにより、被災者の生活を守り支えるための被災者生活支援施策を推進し、もって被災者の不安の解消及び安定した生活の実現に寄与することを目的とする」

しかし、議員立法の形で成立した法律は、政府提出法案とちがって予算措置がされておらず理念法にとどまっています。

この法律が実際に生かされ被災者のためになるようにするにはまず、第5条のの基本方針が具体化されねばなりません。第5条には基本方針として次の事項を定めるとされています。

一、  被災者生活支援等施策の推進に関する基本的方向

二、  支援対象地域に関する事項

三、  被災者生活支援等施策に関する基本的な事項

これらの具体的な中味は復興庁の役人が書き込むようですので、被災者の側は被災者にとって必要なことがすべて盛り込まれるよう要求して行く必要があります。

そこで福島の市民、支援に当たる弁護士、医者などが、法案成立のために動いた国会議員を通して具体的な要求を出しているのが現状です。

しかし例えば、まず最初に決めなければいけない「支援対象地域をどの範囲とするか」ということ一つをとっても決めるのは相当難しいのです。年間積算線量1ミリシーベルト以上の地域を対象地域とするという案が市民側から出されていますが、これでいいのかどうか、ある地域の線量を計算するのにどの資料を使うのかなどむつかしいことが沢山あります。

ただ、ぼくたち東京に住む者も被災者であって当事者ですから、ぼくたち自身のこととしてこの支援法に関わっていくべきです。また福島の人たちにとっては当然緊急で切実な問題ですから、ぼくたちみんなでこの支援法に関心をもち、法律が十分に生かされるよう働きかけていきたいと、ぼくは考えています。

あるびれお顧問 山田真

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原発事故子ども・被災者支援法 市民会議のウェブサイトに10月19日に行われた院内集会の記事が載っています。

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また、増子さんが中心になって行っている福島避難者こども健康相談会は、10月26日に復興庁に要望書を提出しました。NHKの以下のサイトをご覧下さい。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20121027/k10013056571000.html

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