長野県産リンゴの共同測定結果

昨年末の長野県産リンゴの測定が少なからぬ反響を呼んだことは、記憶に新しいかと思います。

その後あるびれおでは、長野県産リンゴを1検体測りました。また、同じく長野県産りんごを産直で取り寄せ、共同測定を呼びかけました。

総勢15人が参加してくださいました。参加者の中にはりんごの木を1本持っていらっしゃるという方もいて、そのリンゴも含め3検体を、すべて18時間測定しました。

時系列で書くと次のようになります。

1月24日

2つの果樹園から届いたリンゴ14個の皮を3人でせっせと剥き、すりおろし、加熱。生の状態より20~25%程度重量が減少した。

1月25日

午後2時、第1検体測定開始。測定員の1人は、かつて実家がリンゴの栽培をしていたということで、りんごの話を聞く。こどもの頃のことなのでと言いながらも、農薬なしにリンゴは育たないこと、土のこと等いろいろ。

1月26日

朝、第1検体測定終了。次がその結果です。

①セシウム  合計0.70±0.41 (重量991g)

   137  下限未満                       下限値0.71Bq/kg ピークなし

   134  検出 0.70±0.41 絶対誤差59.4%  下限値0.66   ピークなし

福島由来ならば、当然137と134が共に検出され、更に137の方が約2倍あるはずですが、137は下限値以下の空欄。従って134の数値だけが反映した「検出」は、信頼できる測定値ではないと言えます。

さて、10時からは、カンパされた7個のりんごを剥き、すりおろし、加熱。その作業と同時に、上記の結果を覗き込む。また、用意したりんごの年間作業工程の表や、長野県やいくつかの市民測定所が公表しているリンゴの測定結果の資料、りんごの移行係数を記した本にあたり、情報を共有。参加者の方々からは、農家の方が大事にリンゴを育てている様子や、もし放射能が出たらどうしようと不安を持っていらっしゃること、福島のリンゴ並木、故郷から送られてくるお米などなどのお話があり、リンゴの向こうにひとりひとりの生活が見えて、共感し合う。

(参照)長野県のホームページhttp://www.pref.nagano.lg.jp/enchiku/kurashi/shobo/genshiryoku/hoshasen/chikusanbutsu/nosanbutsu/ringo.html

1月27日

第2検体測定終了。次の通りです。

②セシウム合計  空欄   (重量1096g)

      137  下限未満 下限値0.65Bq/kg  ピークなし

      134  下限未満 下限値0.66      ピークなし

1月28日

最後の検体の測定終了。スペクトル表の661kev前後に突起のようなものがないかどうか、測定員2人でパソコン画面の波形に目を凝らす。が、見つけることはできなかった。その結果です。

③セシウム合計  空欄    (重量1051g)

      137  下限未満 下限値0.67Bq/kg   ピークなし

               134  下限未満 下限値0.63          ピークなし

こうして、25日から始まった①~③のリンゴ測定が終了しました。手元には3000g強のすりおろしリンゴが残り、参加者で分けあいました。早速甘く煮てフレンチトーストの上に乗せ、子どもたちとおいしく食べたという人もいました。

3検体の準備や長時間測定は、なかなかハードでした。しかし、集うことのよさは、共同測定ならではです。「共同測定は、関心を持つ人たちが気軽に測定できるいい方法ですね。」と、牧下圭貴さんが、おっしゃってくださいました。測定する者にとっても、共同測定はまた、世界が拡がり、同時代を生きるつながりを感じさせてくれる意義深い方法ではないかと、私は考えます。

あるびれおでは、これからもいろいろな形で、もう少しりんごの測定を続けます。

    測定員 音

  (参照)牧下圭貴さん

「生産者と消費者をつなぐ測定ネットワーク」事務局長を務め、自ら測定を手掛けている。昨年11月30日、放射能測定を考える会・西東京主催の公開講座で、「放射能汚染と学校給食」を講演。今年1月25日、測定員の勉強会である交流会にお招きした。

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