あるびれお通信 2021年初夏号

5> 東北大震災から10年 測定員になろうとして

2011年3月23日、金町浄水場でも放射性ヨウ素が検出され、乳幼児に水道水を摂取させないよう報道がありました。

翌年7月8日、私は台東区の娘宅の水道水を煮詰めて、あるびれおで測ってもらいました。

当時の私は水素爆発や放射性物質の半減期の意味もわからず、やみくもに赤ん坊のいる娘宅を心配して、測定依頼をしたのだと思います。結果はND、ほっとしたのを覚えています。

それ以来、福島の田舎から送ってくる梅干し、野生のキノコ、山菜などの測定のお願いをしては、その結果に一喜一憂、測らずに目をつぶって捨てたものも沢山ありました。震災前はありがたくて、知り合いに分けたり、冷凍したりと大事に食べたものばかりです。

原発事故はふるさとを壊し、すべての人々の心を砕きました。10年経った今も、不安はずーっと心の底にひそんだままです。

昨年の暮れ、私は測定員へのお誘いの話を迷いながらも受けることにしました。少しでも自分で測定結果を読み取れたらいいと思ったのです。といっても、まだ一度も自分で測定したことがありません。本を読んでも理解は深まらず、何とも情けない状態です。化学が苦手な私には、無理かなと後戻りもします。道ははるか遠くですが、何とか教えていただきながら、少しずつ覚えたいと思っています。そしてコロナという、これもまた目に見えない相手が静まってくれることを願います。

私は今、日本を思います。どうしたら子どもたちに少しでも明るい未来を残していけるのかと。せめて子どもたちの前で嘆くのだけはやめようと思っているところです。

                     (測定員 水野幸子)

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